2012年12月26日星期三

トヨタ「クラウン」の憂鬱

トヨタ「クラウン」の憂鬱
トヨタ自動車の看板車種「クラウン」。トヨタのみならず、日本を代表する高級セダンだ。個人向けだけでなく社用車や個人タクシーなど法人向けでも広く使用され、社会的な成功者が乗る車と認知されている。

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 だが、当のトヨタからは、クラウンの存在や位置づけについて静かな苦悩ぶりがうかがえる。

 トヨタは12月25日、「クラウン」を5年ぶりにフルモデルチェンジ(全面改良)し、販売を開始した。価格は353万~543万円。月間販売台数は4000台を目指している。

 14代目に生まれ変わった新型クラウン。今回のモデルチェンジで大きな話題を呼んでいるのが、クルマの顔ともいえるフロントグリル部のデザインが大きく変更されたことだ。フォーマルスタイルの「ロイヤル」シリーズ、スポーティなスタイルの「アスリート」シリーズともに、従来よりも“動的”なデザインが採用された。

■ 「トヨタも、クラウンも変わらなければならない」

 「日本の自動車市場は新車を出しさえすれば乗り換えてくれる時代は過ぎた。本当に欲しいと思うクルマを作らないと買ってもらえない。あえてクラウンの保守的なイメージを覆すデザインを採用した。日本の自動車産業が置かれた厳しい状況を乗り越えるためには、トヨタも、クラウンも変わらなければいけない」。同日、東京・渋谷の渋谷ヒカリエで発表会に臨んだ豊田章男社長は強調した。 クラウンといえば、日本の高級セダンの代名詞。「保守」の伝統を背負うだけに大胆なデザイン変更にはリスクも伴うが、トヨタがここまで「攻め」の姿勢を打ち出さなければならないワケは、クラウンが長期的な低落傾向から抜け出せないからだ。

 クラウンの歴史は日本経済の縮図でもある。栄華を極めたのはバブル経済の絶頂からほどない1990年。年間販売台数は20万台を超えた。ところが、その後は低落傾向をたどっている。モデルチェンジのたびに少し盛り返しても、長期的なトレンドでみれば販売台数は右肩下がり。今年の販売台数は3万台前後と、ピークから8割以上も減少しているのだ。

 理由は大きく3つある。

■ 消費者行動が大きく変化

 まずは「セダン離れ」だ。セダンとは、ボンネットとトランクを持つ5人乗りのクルマ。昭和の時代までは、乗用車といえばどれもこれもセダンだった。消費者は排気量と価格に応じて、自分に見合う車種を選んでいた。その頂点に位置していたのがクラウンだった。

 ところが平成に入ると時代は一変。ミニバンやコンパクトカー、SUV(スポーツ多目的車)、ハイブリッド車(HV)など車種の 選択肢が広がり、社会的に成功を収めたからといって高級セダンを買い求めるという消費行動パターンにならなくなった。前へ123次へ3ページ中1ページ目を表示【関連記事】 日産のEV「リーフ」が売れないワケ スズキのドル箱・ワゴンRにまさかの展開 ダイハツ、新型「ムーヴ」に映る危機感 EV不発、日産がハイブリッド大量投下に転換 月販600台でも国内生産、日産の意地

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